Fetal Abnormality Diagnosis Assistant System
仙尾部奇形腫(sacrococcygeal teratoma)
・尾骨部の部分に発生する奇形腫。
・病理学的には、良性、未熟、悪性の3つに分かれる。
・殿部の腫瘤として認められ、solidのもの、mixed typeのもの、cysticのものがある。
・腫瘍部分の血流量増加により胎児の循環系の異常を伴うことも多い。
仙尾部奇形腫の例
仙尾部奇形腫(30w)
妊娠30週の仙尾部奇形腫(sacrococcygeal teratoma)の超音波像である(殿部縦断像)。殿部から高輝度のエコーを有する腫瘤が出ている。
仙尾部奇形腫(sacrococcygeal teratoma)は尾骨部の部分に発生する奇形腫である。発生頻度は35,000出生に1例であるが、女児に多い(女児:男児=4:1)。病理学的には、良性、未熟、悪性の3つに分かれ、出生後では悪性の頻度は10%程度とされる。大きさと範囲によって4つのtypeに分けることが行われている。type
Iは奇形腫のほとんどが体外に出ているもの、type IIは体外の部分が多いもの、type IIIは胎内に多く存在し腹腔内に発育するもの、type
IVは胎内に留まっているものである。 超音波像としては、殿部の腫瘤として認められる。solidのもの、mixed
typeのもの、cysticのものがあるが、大部分はsolidかmixed typeである。石灰化が約30-40%に認められる。腹腔内の腫瘤が観察されることもあり、膀胱や尿管を圧迫し、水腎症を示すこともある。鑑別診断としては神経原性腫瘍、脊索腫、脂肪腫、横紋筋肉腫、血管腫などがある。また、cysticなものは髄膜腫と鑑別すべきである。羊水過多が約70%の症例で認められる。胎児水腫がみられることもある。合併奇形とし、筋肉骨格系、泌尿器系、心血管系、消化管系、神経系などの異常を伴うこともある。
予後としては、死亡率は約30%に達するとされる。予後不良のとしては早い週数から胎児水腫・羊水過多等の症状が起こるもの、充実性のものが挙げられる。分娩様式としては5cm以上のものでは帝王切開が選択される。
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